サギソウ
モリアオガエル
ハッチョウトンボ
トキソウ
地黄(じおう)湿地は、大阪府能勢町の山間部にある、面積1haに満たない、府内唯一の滲水(しんすい)湿地です。傾斜の緩やかな谷間に上流から滲みだしてきた水がたまり、湿地が形成されました。サギソウ、トキソウ、アカハライモリやモリアオガエルなど、府内でも生息地が限られた湿地特有の希少な生きものが見られる、生物多様性ホットスポットです。
地黄湿地には、たくさんの希少な動植物が生息・生育しています。それらを育む環境は、人の手が入ることにより守られています。手を入れない状態では、低木や背の高い草が繁って陽が当たらなくなり、生物の多様性が低下します。ススキ等の背の高い草を刈り取り、地表をならすなどの植生管理を行っています。また、周辺からの水の流れが大きくなることで徐々に水路を形成し、水路周辺が乾燥化します。そこで生分解性土のうで水路を埋め、堰(せき)を作るなどして、水を湿地全体に行き渡らせるといった作業を行っています。そうした活動は主に12月から3月にかけて行われ、4月~11月にかけて、さまざまな動植物がその姿をあらわします。
「地黄の森FANクラブ」
湿地の動植物との出会いや風景を楽しみながら、湿地環境を残していくための活動を行っています。まず一度お気軽に参加してください。
〈活動日〉毎月第4土曜日(11月~3月は第2土曜日にも実施)
〈集合場所・時間〉能勢電鉄山下駅9時30分集合。乗合で活動地まで行きます。
地黄湿地は、周辺林から供給される水とシルト(粘土より粗く、砂よりは細かい土)により維持されています。かつて周辺林は、薪炭林や農用地として、湿地は草刈り場として田畑の肥料に活用され、湿地環境が形成されてきました。しかし生活の変化により里山林が利用されなくなると、樹木の発達により水やシルトの湿地への供給が減りました。また、陽が当たらなくなることにより、湿地特有の多様な生物が衰退しました。悪質なマニア等による動植物の採集(盗掘)といった被害もありました。しかし、この珍しい貴重な環境を残そうと、1996(平成8)年地元を中心とした地黄湿地保全委員会が設立、翌年保全活動がスタートしました。
1996(平成8)年
地黄湿地保全委員会設立
1997(平成9)年
地黄湿地保全事業スタート
1998(平成10)年
大阪府緑地環境保全地域に指定
観察用木道を設置
2001(平成13)年
自然観察会スタート
2005(平成17)年
地黄湿地調査部会設置
2006(平成18)年
特定外来生物ウシガエルの侵入確認、駆除開始
この頃からハッチョウトンボの生息が確認できず
2007(平成19)年
植生調査スタート、地下水位測定器の設置
2013(平成25)年
地元能勢高等学校(現豊中高等学校能勢分校)による
環境学習スタート
2014(平成26)年
地黄湿地再生・保全検討会議設立
2015(平成27)年
再生・保全3ヵ年事業スタート
2020(令和2)年
14年ぶりにハッチョウトンボの生息を確認
自然環境を守る