ブナの大木の枯死が目立ち、ブナ林存続が危惧されるようになった昭和63(1988)年、文化庁、大阪府、地元の貝塚市、岸和田市は、学識経験者、行政、地元教育委員会などからなる「国指定天然記念物和泉葛城山ブナ林保護増殖調査委員会」1993(平成5)年~「和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会」)を組織し、ブナ林の保護と増殖のための調査を行いました。その結果に基づき、中心となる天然記念物のブナ林(コアゾーン)を保全すると同時に、周辺の森林を緩衝樹林帯(バッファゾーン)として管理しつつ、徐々にブナ林に誘導していくという基本方針が示されました。これを受け、大阪府は1992(平成4)~1993(平成5)年にかけて、周辺森林約47ヘクタールを取得し、公益財団法人大阪みどりのトラスト協会が保全活動団体などと連携し、保護増殖検討委員会の指導・助言のもと保全事業を進めてきました。2018(平成30)年3月には、保護増殖検討委員会の下部組織としてワーキンググループを設置しました。これにより、ブナ林保護増殖に関する議論が活発化しています。
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1923(大正12)年
国の天然記念物に指定
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1988(昭和63)年
国天然記念物和泉葛城山ブナ林保護増殖調査委員会発足
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1989(平成元)年度
調査委員会の提言を受け、大阪府及びトラスト協会がブナ林保全事業を開始
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1991(平成3)年度
「和泉葛城山ブナ林保全事業計画(平成5~14年度)」を策定
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1992(平成4)年度
和泉葛城山ブナの森トラスト運動スタート
大阪府が周辺森林を買収し、緩衝緑地帯(バッファゾーン)を確保(~翌年)
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1993(平成5)年度
和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会発足
種子大豊作
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1996(平成8)年度
金剛生駒紀泉国定公園の特別保護地区及び第一種特別地域に指定
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2000(平成12)年度
和泉葛城山ブナ愛樹クラブ発足
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2002(平成14)年度
7月豪雨、台風21号により大規模な崩落や倒木が発生
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2004(平成16)~
2009(平成21)年度
毎木調査(コアゾーン)、植栽地調査(バッファゾーン)、林相調査、昆虫相調査、生育環境調査等を実施
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2015(平成27)年度
「和泉葛城山ブナ林保全3ヶ年計画(平成27~29年度)」策定
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2016(平成28)年度
和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会規約を制定
大阪府・貝塚市・岸和田市・トラスト協会の4者で「和泉葛城山ブナ林保護増殖事業実施に関する協定書」を締結
トラスト協会がブナ1本を不適切に伐採
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2018(平成30)年度
和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会規約を制定
保護増殖検討委員会の下部組織としてワーキンググループを設置
シンポジウム「和泉葛城山のブナ林を語る」を開催
毎木調査・ギャップ更新植生調査(コアゾーン)、植栽地調査(バッファゾーン)、生育環境調査を実施
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2020(令和2)年度
「和泉葛城山ブナ林種子育苗計画・要領」策定
「和泉葛城山ブナ林10ヵ年計画(令和3~12年度)」策定