
長年にわたって会長を務められた石井実代表理事が2025年12月に急逝されました。心より哀悼の意を捧げ、これまでの当協会へのご尽力に対して、敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。
さて大阪みどりのトラスト協会は、1989年(平成元年)に発足し、以来36年にわたって、皆さま方のご支援とご協力に支えられて、大阪府域に残された貴重な野生動植物の生息環境や身近な緑の保全・育成などに取り組んでまいりました。
2022年に昆明・モントリオール生物多様性枠組みで30by30が採択され、我が国においても2030年のネイチャーポジティブ実現に向けて自然環境の劣化を食い止め、多様性を保全する活動が推進されています。大阪府域では「大阪府生物多様性地域戦略」を掲げて、このミッション達成に向けての動きが活発に行われています。当協会も「三草山ゼフィルスの森」(1992年から保全事業スタート)、ブナ南限域の「和泉葛城山ブナ林」(1993年からスタート)、サギソウやモウセンゴケなどが自生する「地黄湿地」(1997年からスタート)をはじめ、大阪府域において貴重な自然環境を保全する事業を遂行しています。さらに、他団体と連携して府内各地の里山の自然環境の保全、「緑の募金」による学校や市街地の緑化推進事業、緑の担い手の育成なども推進しています。しかしながら自然環境への負荷は増大する傾向にあり、都市部だけでなく、里山においても自然環境の減少と変化が進行しています。
「生物多様性国家戦略」では里地里山への働きかけの縮小、外来種の拡散、さらには地球温暖化が日本の生物多様性の危機要因とされており、大阪府域においても動物および植物、さらには生態系において生物多様性の劣化が進行しています。
石井実会長が推進されてきた自然への確かな視点を引き継ぎながら、当協会は大阪府域の野生生物の生息地や緑地の保全と育成、さらには未来を担う子どもたちの育みにさらなる力を結集してまいります。今後とも皆さま方のご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
大阪みどりのトラスト協会 会長 前迫ゆり

前迫ゆり プロフィール
奈良女子大学大学院理学研究科博士課程単位取得満期退学(学術博士)。専門は生態学、植生学。奈良女子大学理学部助手、大阪産業大学大学院教授を経て、現在、奈良佐保短期大学教授・副学長、奈良女子大学共生科学センター協力研究員。植生学会会長、関西自然保護機構会長、社叢学会副理事長、紀伊半島研究会会長ほか。著書に「愛しの生態系ー研究者とまもる陸の豊かさ」(文一総合出版)、「カワウが森を変えるー森林をめぐる鳥と人の環境史」(京都大学出版会)、「シカの脅威と森の未来-シカ柵の有効性と限界」(文一総合出版)ほか多数
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