大阪府の自然環境保全条例に基づく自然環境保全地域には、5か所の地域が指定されています。その一つである、妙見山自然環境保全地域を訪問してきました。
指定区域は、能勢町野間中の妙見山真如寺所有の山林の一部で、特別地区の5.75haを含む9.50ha。能勢町南東部の妙見山山頂付近に位置する比較的低高度地帯(標高662m)です。ここにはブナ林があり、西南日本のブナ林が標高1,000m以上の寒い場所に分布している中で、アカガシなどの常緑広葉樹が混じった林層をもっている学術的にも貴重な樹林です。また、82種類が確認された鳥類をはじめ、オオサンショウウオ等の両生類やゲンジボタルをはじめとする多種類の昆虫が見られるなど、豊かな自然生態系も有しています。都市化の進んだ大阪府内近郊にこのようなブナ林が見られることは珍しく、豊かな自然と接することの少ない府民にとって自然とのふれあいの場としても重要であることから、平成元年に大阪府自然環境保全地域に指定され、保全を図っています。
妙見山は大阪府能勢町と兵庫県川西市の境にあり、北極星信仰の世界的な聖地として、また芸能の神さまとして古くから人々の信仰の対象となってきた山です。近年は生息している多くのニホンジカによる植物の食害が深刻で、せっかく芽生えたブナをはじめとする多種多様な植物が食い荒らされ、ニホンジカが食べない種類の植物が目立っています。食害から守るために区域内の至るところに防鹿柵が設置されていました。
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