地黄湿地再生保全検討会議の服部会長と平井副会長を講師にお招きし、主に地黄湿地(能勢町)の地元の方や保全活動を行っている「地黄の森FANクラブ」「能勢みどりすとクラブ」の皆さんを対象にした、地黄湿地に関する勉強会を実施しました。
会長・副会長による地黄湿地の成り立ちや自然環境、現状の課題や今後の方向性などに関するご講演、近隣(宝塚市)にある丸山湿原と松尾湿原の視察、地黄湿地現地での自然観察などを通じて、地黄湿地保全活動の意義や湿地に与える影響・効果について、改めて考え理解を深めることができました。
【講義1「地黄湿地に棲む生き物たち」(大阪公立大学 平井規央教授)】
1974年と2008年の航空写真の比較から、地黄湿地の状態の推移の説明と、これまでの調査結果から能勢町内と他府県のハッチョウトンボの生息数の紹介がありました。
【丸山湿原(宝塚市)視察】
丸山湿原群保全の会代表の今住氏に案内していただきました。
お話では、丸山(標高328m)のふもとで全体の広さは70ha。湿地部は40a。凝灰岩が風化してはげ山から流れ込んだシルトで湿原がつくられているそうです。ギフチョウ、アサギマダラ、ハッチョウトンボ、セトウチサンショウウオも見られるそうです。
【松尾湿原(宝塚市)視察】
宝塚エコネット(TEN)の副代表川本氏に案内していただきました。
お話では、広大な宝塚自然の家の敷地内にある、僅か261㎡の湿地。2012年に36年ぶりにハッチョウトンボが22匹発見され、重機で土を削るなどして手を加えたところ、今年はハッチョウトンボが推定で約700匹生息し、2007年に22本だったサギソウは、今年473本開花したということでした。
【講義2「地黄湿地の特性と保全の方向」(兵庫県立大学 服部保名誉教授)】
湿地の成り立ちや、維持保全をするためには周辺樹林の皆伐、陸地化防止のためのススキの刈取り、浸食水路の埋戻しなどが必要で、多くの方に保全活動へ参加してもらいたい。そのためには、兵庫県内の湿地と同様に天然記念物指定が有効である。というお話がありました。
【地黄湿地(能勢町)視察】
秋に見られるウメバチソウをはじめ、モウセンゴケ、キセルアザミ、サワギキョウ、ヤマドリゼンマイなど、先生方のお話にでてきた植物を観察しました。ミズカマキリやアカハライモリといった動物も見ることができました。
先生方の講義と他の湿地視察をふまえて地黄湿地を見学し、参加者からは「地黄湿地の魅力を改めて知ることができた。今後の保全活動に役立てたい。」といった声が聞かれました。
湿地をより良い状態に維持するためには、人の手を入れ続けなければいけません。地黄湿地の保全活動に引き続きご協力をお願いします。
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