本年も多くの方々からご支援・ご協力を賜りました。当協会が活動を継続できるのも皆様のおかげです。役職員一同心よりお礼申し上げます。
今年の夏も猛暑でした。2024年は記録上最も暑い年となり、世界の年間平均気温は産業革命前に比べて1.5度以上高くなるのはほぼ確実、との見通しが発表されました。
気候変動、生物多様性の喪失、環境汚染を合わせて、「地球の三重危機(トリプル・クライシス)」と言います。対処するには、一つの対策で複数の問題解決につながる統合的なアプローチが必要と言われます。しかし、一つ一つの危機を取り上げても、困難な状況にあることが次々と報告されています。
例えば、今年の世界の二酸化炭素排出量は過去最高に達すると言われています。国際自然保護連合(IUCN)は、世界の樹種の3分の1以上が絶滅の危機にあると発表しました。プラスチック汚染に対処するための国際条約制定に向けた政府間交渉委員会(INC5)は、各国の意見の隔たりが埋まらず、合意には至りませんでした。
トリプル・クライシスは「自然現象」ではありません。人間の活動が影響していることは明らかです。人間は、自らの行為の結果として危機を招き、根本的な解決策が見出せていないのに、行動を変えることができないでいるようです。
そのような中でも、新たに掲げられた目標に向けての取り組みがスタートしています。生物多様性国家戦略2023‐2030には、COP15(生物多様性条約第15回締約国会議)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえ、2030年までに陸域と海域の30%以上を健全な生態系として保全すること(30by30目標)が組み込まれました。当協会も、三草山ゼフィルスの森、地黄湿地、和泉葛城山ブナ林について、環境省が認定する「自然共生サイト」への申請を進めてまいります。
もちろん、認定を受けることがゴールではありません。多くの人が力を合わせ、保全活動を継続することで、多様な動植物が棲息・生育できる環境が維持されるのです。
大きな歴史では語られることのない、人々の地道な取り組みから、希望が生まれるように思います。来年もよろしくお願い申し上げます。
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